100歳の私があの日を忘れないために

IVE考察② タイムトラベラー

 やられた~~~~!!!

 

 IVEが「ELEVEN」「LOVE DIVE」「After LIKE」(以下③部作)を通して表現した事が壮大だった。既に作詞者のソジウム先生がこの物語を解説してくださったので世界観の結論を先に書きます。これは心が空っぽな過去の私に未来の私が宇宙を越えて会いに行く物語でした。

 

 そうだったの!!?!と驚きませんか。この物語を歌詞・MVを引用しながら私なりに一本の物語としてまとめてみました。目次の「IVEの時空旅行」を押して下さい。ソジウム先生の解説も読む方はこのまま下にスクロールを。

 

 まず、私は「ELEVEN」「LOVE DIVE」時点での世界観考察をブログにしているのですが、もし読んで下さった方がいたら9.5割くらいこちらの設定を忘れて大丈夫です……。↓

enemy-chan.hatenablog.com

 

作詞者が投稿した「③部作の解説」

 ではさっそく、ソジウム先生のインスタに載っていた全6枚のライナーノーツを引用し解説の要約を書きます。

https://www.instagram.com/p/Chpe5u_Jtyq/

左原文  右パパゴ翻訳

 

「ELEVEN」

 真っ白い部屋にいるかのように単調な私の心。ある日部屋に揺れ入る光に気が付く。刻々と色が変わるこの光はどうやら頭上にある窓から差し込んできているようだ。窓の外をみてみると、そこには水中の花園/アクアガーデンがあった。理想的で神秘的なこの空間で光を放つ巨大なプリズム。いや、これは誰かの瞳のようだ……。(実はこの瞳がAfter Likeの話者)

 

「LOVE DIVE」

 深い森の中には秘密の湖があった。(ここでの森・湖=ELEVENでのアクアガーデン・瞳) 毎晩君(瞳の持ち主)に会いに行く私。君は日が昇るとすぐに姿が消えてしまいとてもおぼろげだ。デジャブのような記憶……。この湖に映る姿は私なのだろうか、それとも君のなのだろうか。私は、愛おしい君とこの湖の底に何が咲くのか飛び込んで確かめたい。

 

「After LIKE」

 飛び込んだ私たちは黒い深淵で目を覚ました。2人は無我夢中でこの暗闇を駆け抜けた。呼応するように光が咲き乱れる。この空間は宇宙で、そして私たちの記憶の全てだ。私たちは出会い、愛を知り、光を散りばめながら青い炎となって完全燃焼する。愛を知った私が光より早くこの宇宙を駆け抜けて真っ白な私(ELEVENの私)に会いに行く。

 

 意訳も含んでいていますが上記が私なりの要約です。このように各曲を通してIVEの物語が作り上げられたとのこと。

 

IVEの時空旅

 ではソジウム先生が公開してくださった解説を元に、歌詞・MVを引用しながら一本のストーリーとして記述していきます。絵本感覚で読めるようにしてみました。

 

따분한 나의 눈빛이 -退屈な私の目つき

무표정했던 얼굴이 -無表情だった顔が

平凡な毎日を退屈に感じている私。白く狭い空間のように私の心は空っぽだ。

 

ある日部屋に揺れ入る光に気が付く。刻々と色が変わるこの光。一体どこから差し込んでいるのだろうか。

 

널 보며 빛나고 있어 -君を見て輝いている

널 담은 눈동자는 odd -君を映した瞳 妙な気分

私は頭上にある窓を見る。目に映るその光景/君に心を打たれ衝撃が走った。(窓が自分の目線よりかなり上にある=普段は心を素直に見せない意地っ張りな性格)

 

난 몰랐어 내 맘이 이리 다채로운지 -知らなかった 私の心がこんなに多彩だなんて

긴 꿈을 꾸게 해 이 방은 작은 heaven -長い夢を見せる この部屋は小さなheaven

窓の外に広がるのは湖の下に花が咲き乱れるアクアガーデンだった。(足場を見ると水面を表現した波の下に花のアート) この神秘的な空間は私の単調な心をときめかせた。

 

내 앞에 있는 너를 -私の前にいる君

그 눈에 비친 나를 -その瞳に映る私を

Aya, aya, aya (가만히 바라봐) -じっと見つめて

私はアクアガーデンに存在する瞳に気が付く。君の瞳は私が退屈であったことも見透かしているのだろうか。

 

1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 You make me feel like eleven

사랑하게 됐거든 -愛するようになるの

平凡で充分(10)だった私は、それ以上(11)の世界がある事を君に教えてもらった。私は"愛"を知ろうと思う。

 

窓の外に広がっていた神秘的な空間が「LOVE DIVE」につながる。左:深い森の中、真ん中:湖・水面、右:花園を表現しているかな?

 

참을 수 없는 이끌림과 호기심 -我慢できない魅力と好奇心

묘한 너와 나 두고 보면 알겠지 -妙な君と私 見ればわかるはず

私は君に会いたくて毎晩湖に出かけるほど行動的になった。同じように姿を現す君も、私の事が気になってくれてるのかな。妙な関係だね。

 

Woo 눈동자 아래로 Woo 감추고 있는 거 -瞳の下に隠している事

Woo yeah it’s so bad it’s good 

난 그 맘을 좀 봐야겠어 -私はその心をのぞいてみたい

君は一体どんな気持ちでここにいるの。ゲームの駆け引きや追いかけっこみたいでいじわるかな。でも私はただ君の心が知りたいだけ。

 

Narcissistic, my god I love it

서로를 비춘 밤 -お互いを照らした夜

毎夜、この湖の水面を通して私たちは出会うことができた。私は君に会えるこの時間が好きだった。

 

しかし日が昇ると姿を消す君。未だおぼろげな君の姿はデジャブのような記憶だ……。(日の差し込むシーンでユジンレイリズの顔を視認できていないウォニョン。一瞬のカット)

 

아름다운 까만 눈빛 더 빠져 깊이 -美しい黒い眼差し さらに深く溺れていく

(넌 내게로 난 네게로) -君は私に 私は君に

숨 참고 love dive -息を耐えて 愛に飛び込む

やっぱり暗闇になると姿を現す君。湖に映るのはどちらの姿なのだろう。だんだんと曖昧になる2人境界。私が君なのか、君が私なのか……。どちらにせよ私はこのアイコンタクトが心地よく、さらに愛に溺れていく。

 

Woo 어서 와서 love dive -早く来て 愛に飛び込もう

Woo oh perfect sacrifice yeah -完璧な生贄だ

숨 참고 love dive -息耐えて 愛に飛び込む

私はこの湖の底に何が咲くのか見たい。愛の先に何があるのか一緒に見届けよう。生贄のように残酷な未来になってもいい、それほどの覚悟がある。LOVE DIVE。

 

湖に飛び込んだ私たちは黒い深淵で目を覚ました。(After LikeのMVは暗転から始まる)

 

暗闇の中を進む私たち。(足元に道の破線) そんな私たちに応えるようにちかちかと光が輝き始める。ここは単なる湖の底ではなく星々が爆発する宇宙だった。

 

아마 꿈만 같겠지만 분명 꿈이 아니야 -夢みたいだけどこれは夢じゃない

그냥 좋다는 게 아냐 What’s after ‘LIKE’? -ただの 「LIKE」じゃなくてその次は?

「ELEVEN」で平凡だった私は、君と「LOVE DIVE」するほど充実した心の持ち主になっていた。信じられないがこれは夢じゃない。(でも君に「この気持ちはLIKEの次だよ?」と言ってしまうようなツンデレな性格は変わってない笑)

 

そして自由に(車や飛行機が比喩)駆け抜けていく私たち。私たちの記憶の欠片が多彩な色となって輝いている。

 

You and I It’s more than ‘LIKE’

What’s after ‘LIKE’?

私は君と出会い「LIKE」以上の事を知った。平凡で退屈だった私は愛のおかけで好奇心が生まれた。そして犠牲を怖がらず飛び込めるほどの勇気を得た。空白だったはずの私の心は愛のおかげで多彩なものになった。

 

そのまま冒頭カットを逆再生したようにまた暗転する。これは私たちが宇宙を駆け抜けて飛び出した(元の世界に戻った)演出。愛を知った私が行き着く先は…

 

宇宙を駆け抜けた私たちが行き着いたのは「ELEVEN」冒頭シーン。つまり愛の素晴らしさを知った私が、過去の退屈そうな私に会いに戻り、愛を呼び覚ましにいったのだ。上空で飛び回る絨毯のようなものは「After LIKE」を通過した未来の私たちを示唆?

 

そのため「ELEVEN」で登場したこの紫色の瞳も「After LIKE」を通過した未来の私の瞳である。白黒メイン衣装だったこのMVで白黒を着ていないのもこのカットのみ。花冠も着けてるイソは愛を知った未来の私。あと黄緑がもし「After Like」を計算しての衣装色だとしたら恐ろしすぎる…。

 

「LOVE DIVE」に鏡に映る(湖に映る)自分の姿を愛した歌詞と振付があります。それは過去の自分⇔未来の自分の間で自己愛が起きているということです……。

 

 どうでしょうか、IVE③部作の世界観がぴったり繋がりましたか?最後は作詞者が記載したエピローグの文末でこの物語を締めたいと思います。

「窓の外を見てみて。宇宙を光より速く渡って、また私が立っているから。」

 

 

おまけ:細かい設定の考察

①「After Like」の過去の記憶

 ソジウム先生が「After LIKE」で多様に輝いている姿は私たちの過去の記憶と解説しています。その”過去の記憶”を探してみました!!!!!

左:「After LIKE」MVシーン 右:過去に登場したカット

 どうですか?結構しっくりくるような……? 確かに「過去の記憶=過去撮影していたもの」とするならば、至る所にカメラが映り込んでいるのも納得できます。

 

②「ELEVEN」で撃った矢の行方

 「ELEVEN」で撃った矢が「LOVE DIVE」を突き抜けて「After LIKE」で刺さったような振付がある!と話題になりました。これは過去の私が愛した先は未来の私だった、という事です。

 

③You make me feel like eleven

 「1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 You make me feel like eleven」の歌詞は「10点満点中11点の気分にさせてくれる」という解釈がよくされています。私も上記ストーリーではこのニュアンスで書きました。しかし、「君に会うのは1回目ではないかも?何度も会ったような気分だ」というダブルミーニングでも面白いと思います。

 

④リンクする2つのカット

左:ELEVEN  右:After Like

 「ELEVEN」ではただ空間に存在するだけだった空白の私が、愛を知った「After LIKE」では多彩な光をまとっている。

 

⑤I'VE SUMMER FILMの可能性

 IVEがタイムトラベル的な世界観を持っているなら「I'VE SUMMER FILM」が別の時空にいる私たちとして繋がってきそうな気もします。後々わかる事なのかな。

 考察って楽しい~~!

 

雑記

 IVEは「愛」をかなり大切に慎重に扱っているようです。怖さも、強さも、鮮やかさも、そして時代性別年齢問わず愛という概念は不変的な共通事項であることを③部作を通して私たちに教えてくれました。

いやこんなすごいグループある?

 鳥肌が止まらない。ナルキッソスというギリシャ神話(自己愛の究極)を引用したことも、伝説的な楽曲「I Will Survive」を6ヵ月間も交渉した末にサンプリングしたのも納得じゃないですか?(「I Will Survive」はエイズが爆発的に増加した際、特にゲイコミュニティでのアンセムとなっていました。明日は我が身のコロナ禍で再評価されています)

 まさか作詞者の方がこんなにも歌詞の解説をしてくださるとは。曲やMVの解釈に正解はなく、あえて考察の余地を組み込む”余白の美学”があることはもちろん知っています。しかし制作側の意図に限りなく100%近づきたいオタクのエゴもあります。そんなオタクの気持ちを理解してくれているソジウム先生。作詞者さんのおかげで再び考察ブログを書くことができました。ありがとうございます。もはや考察ではなくて答え合わせレビューみたいになってるけど……。

 また次のIVEの世界も楽しみに待っています。

 スタシマンセ~

 

余談:前回の考察の反省

  前回のブログ「IVEの世界観を考察する①」は「IVEの世界観は神話ナルキッソスが主軸」として書きました。が、「After LIKE」のカムバで実感した事は「IVEの世界観はIVEの物語が主軸」です。当たり前の事でした。なのでモチーフの一部として神話を使う事はあっても、神話をそのまま焼き直ししてナルキッソス原典通り死ぬとかありえないんですよね。反省。

 ……えっ、そうですよね?不穏なカムバとかないですよね? でも、もしまた神話の匂わせがあったら遠慮なく①の考察を引っ張り出そうと思います。というか、ブログにしていないだけで神話考察を現在進行形で続けています。どうなるかな。楽しみです。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。良い考察ライフを!

 

このブログの製作者:えねみ

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